戦後最悪の安倍内閣 憲法改悪を許すな(その1)

 昨年夏の「安保関連法制」の強行採決から1年が経った。あの夏が日本の民主主義の大きな分岐点であったことは言うまでもない。たかが一内閣の「憲法解釈の(恣意的)変更」から「安保関連法制」の強行採決へ、その結果、従来の個別自衛権専守防衛から「(条件付き)集団的自衛権の行使」へと、憲法9条の解釈は根本的に変更されたのだった。

 しかしながら、国会議事堂を囲んで、国民主権と相容れない安倍内閣に、抗議の声を突きつけた多くの人々や、全国から抗議の声を挙げた人々の存在、この国の民主主義の希望は、まだ失われてはいないと信じている。

 確かに情勢は厳しい。歴史の重大な分岐点において、国政選挙=参議院選挙の投票率がわずか54%という低さに留まったことは、この国政選挙の本当の争点が40%以上の国民に認識されていなかったことを示すと言ってよい。それは、国民主権の「なし崩し解体」とも言うべき事態をも意味する。

 2016年夏の参議院選挙の最大の争点、それは「改憲勢力による『3分の2』(=国会の憲法改正発議に必要な数)の獲得を許すか否か」であった。にもかかわらず、各種世論調査によれば、医療・介護、年金や経済が国民の主たる関心(=争点)であり、憲法改正は、二次的な関心以下に留まった。確かに、医療・介護、年金や経済は生活に直結する課題であり重要な争点だ。だが、既に衆議院で3分の2を保持する改憲勢力は、「2016年の参議院選挙で、3分の2がとれるかどうか」・・・これこそが、戦後70年の歴史の中で唯一無二のチャンスであると見抜いたうえで闘いを仕掛けているのだ。(次の衆議院選挙で3分の2が取れる保証は全くないのだから)改憲勢力は、この参議院選挙こそが、自分たちの望む日本を実現する天下分け目の決戦と位置付け、戦略的に、何年も前から周到に”努力”を重ねてきている。(下記リンク参照)

 安倍内閣のバックボーンと言われる日本会議は、実は数年前から、この参議院選挙こそが「憲法改正発議を賭けた戦後最大の政治決戦」と位置付けていることをご存じだろうか。安倍総理自身も「在任中の憲法改正」を、はばかることなく何度も口にしている。しかし、選挙に入るや否や、巧妙な戦術、作戦の下に争点を隠し、世論操作を行ってきたのだ。勝つために!

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 国民の主たる関心が憲法改正にないことにつけ込んだ安倍内閣は、意図的に憲法改正を争点から隠蔽し(公約の最期の方に掲げただけ)、消費増税も自身の政策を曲げてまで延期した。その目的は、第一義的には「選挙で3分の2をとる」ことであったに違いない。そのために「なりふり構わず勝ちに来た。」そして、残念ながら、国民の多くは「まんまと、してやられてしまった」・・・そう、判断していいと考えている。

 権力の真の思惑を見破ることができず、「どうせ変わらない」「野党がだらしない」といった漠然とした政治不信から棄権した人々も少なくないだろう。その政治不信に半分の理があるとしても、投票率が下がって利するのは組織票の強い勢力であることまで、本当は考えねばならない。「支持政党なし」「浮動票」の棄権は、結果的に(いや、意図的に)利用される危険があることを知っておく必要がある。「投票してないから選挙の結果に責任がない」とは、ならないのである。たかが、54%の投票率しかない選挙で、国の未来が大きく左右される・・・恥ずべき事態ではないのか。

 権力は、権力を維持するためにあらゆる努力を尽くす。マス・メディアへの公然・隠然たる圧力、その結果の「自主規制」もそうだ。政策的整合性を曲げてまでの消費税増税延期もそうだ。意図的に、憲法改正自民党公約の最期におまけ程度に載せておくこともそうだ。その努力たるや、微に入り細に入り、実に見事というべきである。しかし、それは裏返せば、この国の民主主義の敗北を意味する。当選者に赤いバラを付ける安倍総理は、「(第一次安倍政権の時、かつて自分を追いつめた、憎き)国民に対して『勝った!』」と、ほくそ笑んでいたことだろう。

 安倍総理(と、その支持勢力)にとって、もはや国民は自身の政治的野望の道具に過ぎない。「美しい日本(の憲法)」の名の下に、国益に国民を従属させる「美しい日本」の実現へと邁進することが、この政権の本質なのである。信じられないという人は、自民党改憲草案を、是非しっかりと読み込んで欲しい。

++ ヤバすぎだ、と話題に・・・自民党 日本国憲法改正草案対照表 2012版 ++

 

 さて、来年は、いよいよ憲法改正(=改悪)発議と国民投票という歴史的な年となろう。どちらが勝つかは、まだ分からない。しかし、この2017年という年は必ずや歴史に残る年となる。英国のEU離脱よりずっと重たい選択が迫られよう。すなわち、国民主権が本当に国民自身のものとなるか、国民が国民主権を自ら放棄し国家主権、国家主義を許す地点へと大きく後退するか・・・日本の民主主義の根本が問われることになると考えている。(ここに至り、私自身も小さな、しかし不退転の覚悟を固めた。)

 打倒、安倍内閣!何としても、この最悪の政権は倒さねばならない。この国に生きる人々のため、民主主義のために、ともに闘いましょう!!